カロリー計算の基礎知識!アトウォーター係数から最新の食品表示基準まで(?)アトウォーター係数と食品表示基準の変遷
食品のカロリー表示、本当に正しい? 19世紀のアトウォーター係数は、今も広く使われるが、実は限界も。野菜や腸内細菌の影響、調理法など考慮されない要素も。最新の日本食品標準成分表では、より正確な計算方法を採用!食品表示基準との違いも解説。あなたの食生活を見直すヒントがここに。
💡 アトウォーター係数は食品のカロリー計算の基礎となる値で、19世紀後半に開発されました。
💡 日本食品標準成分表では、2020年の改定でカロリー計算方法が変更され、より正確な値の算出が可能になりました。
💡 食品表示基準と成分表では、カロリー計算の方法が異なり、それぞれ異なる目的で使用されています。
さて、本日は食品表示に欠かせないカロリー計算の基礎、アトウォーター係数について、その歴史から現在の食品表示基準まで幅広く解説していきます。
アトウォーター係数の歴史と限界
アトウォーター係数は正確なカロリー計算に役立つ?
目安に過ぎない
本記事ではアトウォーター係数の歴史を振り返りながら、その限界と課題について掘り下げていきます。

✅ この記事は、食品ラベルに記載されているカロリー値の算出基準であるアトウォーター係数について解説しています。
✅ アトウォーター係数は、19世紀後半に開発されたもので、食品を燃焼させた際の熱量を測定する実験に基づいています。しかし、人間の消化は単に食品を燃やすのとは異なり、食品の細胞壁の構造、調理方法、腸内細菌の影響など、様々な要因によってエネルギー吸収率は変化します。
✅ そのため、アトウォーター係数に基づいたカロリー値はあくまで推定値であり、実際のエネルギー吸収率とは異なる可能性があることを指摘しています。
さらに読む ⇒腸内飢餓と相関性で考える太るメカニズム(ふとらば)出典/画像元: https://www.futoraba.com/topics/2022/12/21993/アトウォーター係数は食品のカロリーを推定するための重要な指標ですが、消化吸収の個人差や食品の種類によって実際のカロリー摂取量と差が生じる可能性があることを忘れてはなりませんね。
19世紀後半にウィルバー・アトウォーターによって開発されたアトウォーター係数は、食品を燃やす実験から得られたカロリー値に基づいています。
タンパク質と炭水化物が1グラムあたり4kcal、脂肪が9kcal、アルコールは7kcalという値は、現在でも食品メーカーなどで広く使われています。
しかし、アトウォーター係数は食品の種類や調理法、腸内細菌の働きなど様々な要因を考慮していないため、実際のカロリー摂取量とは異なる可能性があります。
特に、野菜の消化率は種類や調理法によって大きく異なるため、アトウォーター係数だけでカロリーを計算することは難しいです。
また、人間の消化プロセスは、腸内細菌が食品の消化を助けたり、逆に一部のカロリーを吸収したりするなど非常に複雑であるため、アトウォーター係数はあくまでも目安として捉える必要があります。
なるほど!カロリー表示って、あくまで目安なんですね。もっと色々な要因で変わってくるってこと、意識しないと。
日本食品標準成分表におけるエネルギー計算方法の進化
食品標準成分表はどんな計算方法に変更された?
組成ごと換算係数
日本食品標準成分表におけるエネルギー計算方法の変遷について見ていきましょう。
公開日:2024/05/24

✅ 日本食品標準成分表が2020年に改定され、エネルギー値の算出方法が変更される。
✅ 従来の修正Atwater法によるエネルギー計算には、食品ごとのエネルギー換算係数の算定が困難、きのこ類や藻類など難消化性有機物を含む食品のエネルギー値が不正確、炭水化物の種類による消化性の違いを考慮できていない、といった欠点があった。
✅ 八訂成分表では、これらの欠点を解消するため、国際的に推奨されている組成ごとのエネルギー換算係数を用いた算出方法が採用される。これにより、食品の組成成分に基づいたより正確なエネルギー値を算出することが可能になる。
さらに読む ⇒公益財団法人ダノン健康栄養財団出典/画像元: https://www.danone-institute.or.jp/mailmagazine/8490/食品成分表の改定により、より正確なカロリー計算が可能になったのは素晴らしいですね。
特に、これまで計算が難しかった食品のエネルギー値が改善されたのは、消費者にとって大きなメリットです。
日本食品標準成分表(八訂)では、従来の修正Atwater法によるエネルギー計算から、組成ごとのエネルギー換算係数を用いたより精度の高い計算方法へ変更されました。
従来法は、食品ごとのエネルギー換算係数の算定困難、きのこ類や藻類のエネルギー値算出の難しさ、炭水化物の組成成分への一律換算係数適用、食品ごとの成分組成の違いによる誤差など、様々な問題を抱えていました。
八訂では、アミノ酸組成によるたんぱく質、脂肪酸のトリアシルグリセロール当量による脂質、利用可能炭水化物、糖アルコール、食物繊維総量、有機酸、アルコールなどの組成ごとのエネルギー換算係数を用いることで、より正確なエネルギー値を算出可能となりました。
この変更により、一部の食品ではエネルギー値が大きく変動し、例えば、ココアは従来法より115kcal増加、せん茶は114kcal減少しました。
国民健康・栄養調査データに基づいた試算では、摂取頻度の高い食品である米や鶏卵などでは、エネルギー値が減少する傾向が見られます。
細かい計算方法が変わったんですね!勉強になります。毎日の献立作りに役立てたいです。
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食品表示の熱量計算、知っておくべき違いとは?修正アトウォーター法と食品成分表の違い、計算方法を解説。生鮮食品のエネルギー表示のポイントも。